ロジカルであること
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ロジカルであることとは一意に定義可能だと思っていた。ロジカルに物事を考え、雄弁に語れる人と(そうでない)自分とは何が違うのだろうと考えることもあった。
「論理的思考とは何か」という本を読んだ。
渡邉雅子 著. 論理的思考とは何か, 岩波書店, 2024.10, (岩波新書 新赤版 ; 2036). 978-4-00-432036-4. https://ndlsearch.ndl.go.jp/books/R100000002-I033709265
アメリカ、フランス、日本、イランの作文教育に注目しつつ、それぞれの国で実施される作文技術の教育を紹介し、それぞれの地域における「論理的であること」を丁寧に説明してくれる。
社会の目的が異なれば当然重視される論理や思考能力も異なる。
こうした背景もあり、そもそも「論理的であること」の意味が地域ごとに大きく異なるということが明らかにされる。
つまり、ある地域で論理的であることは、別の地域では論理的ではない、ということだ。
本書で描かれているのは国家レベルの話であるが、個人のレベルでも同じことが言えそうだし、なんなら同じ自分でも昨日と今日では違うのではとも思う。
とすると、、実はロジカルとは客観的なようでとても主観的な概念なのかもしれないと、考える。
隣の人のロジカルがわたしにとってのロジカルではなくて、私にとって昨日ロジカルだったことが今日はロジカルでない、なんてことはとても普遍的なことなのかもしれない
論理的に考えてこうだ、と思うとき(言われるとき、書かれてるとき)実はロジカルでないのかもしれない。そして新しい観点を手にいれるチャンスなのかもしれない。
すごく面白い本でした。