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2026年上半期、遠出をしたこと

· 9 min read
Ikuya Yamada
non-stack engineer

きっかけがなければ遠出することもなく、かつ遠出するきっかけを自ら見つけるのも得意ではない人間なのだが、2026年上半期は遠くに行く機会に恵まれた。

  • 3月末、九州は薩摩、鹿児島県をドライブする
  • ゴールデンウィークにニュージーランドは南島、クライストチャーチから南下していき、フィヨルドに辿り着く
  • ゴールデンウィーク明けより、週に数回静岡と東京を往復する生活となる

そして、そんな体験をまとめて記録しようと思ったのは、6月初旬、梅雨らしくない晴れの日のことである。時系列順にまとめるのか、なんらかの共通項を見出してインサイトをまとめるのか、6月にしては気味が悪いくらい過ごしやすい昼下がりに考えるが、ひとまず思いついたところから書いていこうと思い至る。

鹿児島の件

鹿児島にいくのは初めてのことだと思っていたが、のちに確認したところ、物心があるのかないのか誰にもわからないような時期に、一度だけ訪れたことがあったという。

3月末、静岡はまだ少し冷える時期であったが、鹿児島はいち早く春の訪れを感じさせる気候であった。冬と春を飛行機でもって反復横跳びしたとも言える。

ちょうどその頃、歴史を学べるポッドキャスト・COTEN RADIO で西郷隆盛編の配信が開始しており、なんだか運命を感じる。

二日目の夜のこと、天文館付近の居酒屋にて。隣のテーブルで数名の男性が島津斉彬について話しているのが聞こえる。また、街中には西郷さんにまつわる記念碑や銅像が立ち並び、お土産のパッケージにも西郷さんと愛犬のツンが描かれている。バーのマスターから半ばジョーク的に聞いたところによると、いまだに大久保利通は地元で好感度が低いそうである。

これは、特定の歴史上の人物の影響が極めて小さな土地で育った自分には想像のつかない現象であり、連綿と続いている文化や思想の如きものを感じるたびに、逆に自分が拠って立つところのものがわからなくなり、ひどく緩んだ地盤に立っている気持ちになる。

さて、事前のリサーチ(COTEN RADIO)により、西郷隆盛の生家と大久保利通の生家が歩ける距離である、という情報を耳にしており、維新ふるさと館の近くに西郷隆盛生誕の地なる場所を見つけたので、大久保さんの生家跡を目指して歩いてみる。

西郷さんの生家跡を発ち、左方向にすすむ。維新ふるさと館に突き当たるので、そこで道なりに右折する。するとすぐそこに大久保さんの生家跡が現れる。徒歩3分、いや2分くらいだったかもしれない。

こんなに近所で生まれた二人がともに明治維新の中心にいて、そして最後は袂を分かつ結末はあまりにドラマチックで、人々が熱中するのも納得である。そして徒歩数分というあまりにご近所さんであるリアリティと、そんなご近所さん同士が迎える顛末のリアリティのなさが交差して、思考の焦点が合わなくなる。

こうした話がドラマチックであることはもちろんとして、神話の類とは異なり、ダイレクトに今の生活に影響している歴史であるので、歴史を楽しむことは結構なのだが、もっと解像度高く当時のことを知って、自分なりに批判してみないといけないなあ、とぼんやりとした危機感を抱く。

鹿児島市外でも多くの時間を過ごし、枕崎駅で指宿枕崎線の終端をみたり、砂風呂で背中が生焼けになるような感覚を味わったり、指宿=イーブイすき ということでイーブイ(とそのお姉ちゃんたち)のポケフタを見つけたり、焼酎をたんまりいただいたり、そこそこの準備で乗り込んだわりに得るものが大きな旅となった。

紀尾井坂の変

私が通勤するオフィスの裏手、清水谷公園内には大久保利通の哀悼碑が建っている。いわゆる紀尾井坂の変で大久保利通が命を落としたのがこのあたり、ということだそう。

実はこの公園には仕事の合間に立ち寄ってみたことがある。立派な石碑の周辺をフラフラしていると、優雅に犬を散歩させている婦人を見かける。横にある階段を登ってみるとサラリーマンの隠れた喫煙スポットになっており、タバコを携えたサラリーマンがひっきりなしに出入りしている。恐らくは人工的に作られた水の流れ、小川のほとりに掲示された案内を読むと、この辺りには都心にしては珍しい生き物がいるのだという。ビルの谷間の小さな森の中に、生活と文化を吸収する独特な立体的な空間が形成されている。

そんな清水谷公園であるが、名前に谷とつくだけあって、地図上の見た目より、階段と坂が占める割合が多いのも特徴である。さて、昼休みにオフィスを抜け出して、改めて石碑の横まで降りてみると、不思議なことに、いや、不思議ではないのだろうが、鹿児島訪問前後でこのスポットから受ける印象が変わっていることに気づく。

... というあたりで一旦仲入りです。